実家の売却を考えている方へ
親が施設に入った実家、売るには?
本人の判断・成年後見・税金の期限
本人の
親が老人ホームなどの施設に入り、実家が空いたままになっている。管理が大変なので売りたい。そういうときに、誰が売れるのか、親の判断が難しくなっている場合はどうするのか、税金の期限はいつかを、公的機関の資料をもとにまとめました。
最終更新: 本ページにはプロモーション(広告)が含まれます。先に結論
- 親が
生きている あいだ、 実家を 売るのは 名義人の 親本人です。 子が 代わりに 決めて 売る ことは できません - 親が
自分で 判断 できるなら、 親が 売主と なって 進めます。 連絡や 書類集めは 家族が 手伝えます - 判断が
難しく なっていたら、 成年後見の 申立てが 必要です。 後見人が 施設に 入る前の 自宅を 売るには、 家庭裁判所の 許可が 要ります - 親が
住まなく なった 日から 3年目の 年末までに 売ると、 親の 確定申告で 3,000万円 控除を 使える 可能性が あります
一般的な流れです。親の状態や家の状況によって進め方は変わります。個別の判断は、司法書士・家庭裁判所・税務署などで確認してください。
STEP 01
まず、親が自分で判断できるかで道が分かれる
家を売る契約は、名義人の親本人が「売る」と判断して結ぶものです。親の状態によって、進め方が3つに分かれます。
親が自分で判断できる
親が売主になって、売る・売らない、値段、時期を決めます。家族は、不動産会社との連絡や書類集めを手伝えます(STEP 02)
判断が難しくなってきている
売ることの意味が分からない状態では、契約を結べません。成年後見の制度を使い、家庭裁判所が選んだ後見人が、親に代わって売ります(STEP 03)
まだ判断できるが、将来が心配
判断できるうちに、将来の財産の管理を任せる人を決めておく方法(任意後見契約など)があります。公証役場や司法書士・弁護士に相談します
売買のときには、登記を担当する司法書士が、売主本人に売る意思があるかを確かめるのが一般的です。家族が「本人も了解している」と伝えるだけでは進みません。
STEP 02
親が判断できるとき:家族が手伝えること
売主は親、窓口は家族、という分け方で進められます。
- 査定を
頼む ときに、 「名義人は 施設に 入っている 親」と 最初に 伝える - 契約や
本人確認を、 施設で 行えるか・ 立会いが 要るかを、 不動産会社と 司法書士に 聞く - 家財を
どうするか (施設に 持って 行く物・ 残す物)を、 親と 決めておく - 売った
お金を どこに 入れるか (親の 口座)を 確認しておく
住民票を施設に移した場合:登記の住所に注意
登記に載っている親の住所と、いまの住所(施設)が違うと、売る前に住所の変更登記が必要です。住所の変更登記は2026年4月1日から義務になり、住所が変わった日から2年以内に申請します(正当な理由なく申請しないと5万円以下の過料の対象。2026年3月以前の変更は2028年3月31日まで)。
STEP 03
判断が難しいとき:成年後見と家庭裁判所の許可
後見人が選ばれたあとも、施設に入る前の自宅を売るには、家庭裁判所の許可が別に必要です。
- 後見開始の申立て申し立てられるのは、本人・配偶者・四親等内の親族など。申立先は本人の住所地の家庭裁判所。診断書・戸籍謄本・財産の資料などを添えます
- 後見人が選ばれる家族を候補者にできますが、誰を選ぶかは家庭裁判所が決めます。申立てから開始までは、多くの場合4か月以内です
- 居住用不動産の処分の許可を申し立てる施設に入っていて今は住んでいない家も、入所前に住んでいた家なら対象です。売買契約書(案)や査定書などを添えます
- 許可が出てから売る許可なく売った場合、その売買は無効になります
かかる費用(裁判所の案内)
- 後見開始の申立て:収入印紙800円+登記手数料2,600円+郵便切手(裁判所ごとに違う)
- 本人の判断能力の鑑定が必要な場合は鑑定料。ほとんどの場合10万円以下
- 居住用不動産の処分の許可:収入印紙800円+郵便切手
- 後見人から請求があれば、家庭裁判所の判断で報酬の支払いが必要になります
成年後見は、家を売ったあとも続きます。本人の判断能力が回復したと認められない限り、途中でやめることはできません。売るためだけに使う制度ではない点を、家族で確認しておきます。
STEP 04
税金:親が売るか、相続のあとに売るか
誰が売るかで、使える特例と期限が変わります。
親が売る(生きているあいだ)
マイホームを売ったときの3,000万円特別控除(国税庁 No.3302)
期限:住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
例:2024年に施設に入ったなら、2027年12月31日まで
相続のあとに子が売る
相続した空き家の3,000万円特別控除(国税庁 No.3306)
要介護認定などを受けて老人ホームに入っていた場合も、条件を満たせば対象
条件:入所の直前まで一人で住んでいた、入所後に貸したり他の人が住んだりしていない など
- どちらも、
特例を 使うには 確定申告が 必要です - 親子
など 「特別の 関係が ある人」に 売った 場合は、 マイホームの 特例の 対象外です - 家を
取り壊して 土地を 売る 場合は、 取り壊してから 1年以内の 契約などの 条件が あります
どちらが有利かは、売れる金額・取得費・建物の条件で変わります。親の確定申告は親本人(後見人がいれば後見人)が行います。迷ったら、税務署か税理士に確認します。
相続したSTEP 05
売れるまでのあいだ、空いた実家で決めておくこと
- 郵便と通知書固定資産税の納税通知書などが、空き家に届いたままにならないよう、送り先を確認します
- 見回り誰が、どのくらいの間隔で見に行くか。遠方なら管理を頼む方法も(遠方の実家を売る手順)
- 空き家の税金放っておくと、管理不全の空き家として勧告を受け、土地の固定資産税の軽減が外れることがあります(空き家の固定資産税)
- 家族の役割窓口を1人に決め、親の意向と費用を家族で共有します(整理シート)
STEP 06
次にすること
売却先の出典:裁判所「後見開始」/裁判所「成年被後見人(被保佐人、被補助人)の居住用不動産処分の許可」/法務省「成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A」/国税庁 No.3302「マイホームを売ったときの特例」/国税庁 No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」/法務省「住所等変更登記の義務化」